そう、そっと星空に願う――。



 

 




    Wish



 






さん、ちょっといいかな?」

「え…う、うん!ちょっと待ってね!」



不二君に呼ばれてあたしはビックリした。

だって、あの不二君だったんだもん…。

容姿端麗、欠点などないような人柄、一言では"完璧"としか言いようが無い人。

そんな不二君に想いを寄せてから2年の歳月が流れていた。



「あの…何か用事?」

「うん、ちょっと聞きたい事があってね。」

「聞きたいこと?」

「そう。さんは今、好きな人とかっているのかな?」

「え…。なんで?」

「それはまだ言えないんだけど…。もしかして…いる?」

「う、ううん!別にいないよ?」

「そっか。よかった。」

「へ?なんで"よかった"なの?」

「ふふっ、ちょっとね。それじゃ、ありがとう。」



そう言って不二君はその場を去って行った。

とても意味深な"よかった"という言葉を残して…。


"「よかった」って?とっさにいないなんて答えたけど…。だって不二君なんだもん…。"


の思考回路は混乱中だった。




 

 

 

 

 








夜、窓を開けると一面の星空が広がっていた。



「うわー…綺麗…」



今にも吸い込まれていきそうな空がを見下ろしていた。

すると流れ星がひとつ――。



「あっ!流れ星!お願いしなくちゃ!!」



は流れ星を見つけると3回願い事をした。


"不二君に近づけますように…不二君に近づけますように…不二君に近づけますように…"


流れ星は光輝き、星空へと消えていった。



「流れ星に願い事なんて…自己満足だよねー。」



星空を見ながらは悲しげに呟く。



「なんか月に恋してるみたい…。不二君は月…手に入れることの出来ない月みたい…」




そう呟くと携帯が急になった。

ディスプレイを見ると『不二周助』の文字。

は携帯を手に取り、通話ボタンを押した。



「もしもし…?」

『あ。さん?今電話しても大丈夫だったかな?』

「うん、丈夫だよ。それより…どうかしたの?」

『今さ、空を見てたら流れ星があって、さんみたいだと思って…』

「流れ星があたし?」

『うん。見えたと思ったらすぐ消えて…すごくさんに似てるよ。』

「あたしも同じようなこと思ってた。不二君は月みたいだよ…。手に届くようで届かない場所にいる人。」

『くすっ。僕は月なんだ?』

「うん。あたしは流れ星なんでしょう?」

『そうだよ。流れ星はどうすれば手に入れることが出来るんだろうね?』

「え…?」

『僕は、さんが好きなんだ。君を手に入れることは出来るかな?』



は思いもよらなかった不二の言葉に驚いていた。
 



"不二君があたしを好き?…夢みたい…"

 




そう思うのも仕方が無い。

決して手が届かないと思っていた人からの告白。

まさに夢のようだった――。



「あたし…不二君が好きです。」

『うん、知ってる。』

「え!?なんで?」

『だって、さっき流れ星に祈ったでしょ?僕のこと。』

「う…ん。祈ったけど、それはあたしの自己満足だよ?」

さんはそう思ってるかもしれないけど、僕にはちゃんと届いてるよ。君の想い。』

「不二君ってそんなとこまで天才なの?」

『そう思うのは君次第かな?』

「…天才ってことにしておきます。」

『くすっ、ありがとう。ところで、月は君の手の中に入っちゃったよ?』

「そうだね。あーあ、決して届くことのない想いだと思ってたのに…届いちゃった。」

『じゃぁ辞める?』

「それは嫌。せっかく想いが届いたんだもん!月と仲良くしないと。」





それから星空を見ながらずっと尽きることの無い話を続けた。

 






この星空は夢を叶える流れ星を生み出す星空。


きっと月と星を結ばさせるために生まれた星空。


この星空に願えばきっと貴方に想いが届く。


きっと貴方もそんな星空に出会ったんだね。


この想いが結ばれた夜だから――。








End

 

 

++あとがき++

夜、空を見てたら星がキラリ(笑)そんな感じで思いついた作品です。

なんかかなり突発っぽいモノになったような…。まだまだ未熟者でふ。

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