人肌恋しくなる季節

ずっと隣で歩いていたいよ

 

 

 

 

 

 

 

  愛しさのぬくもり

 

 

 

 

 

 

もうすぐ冬がくる。

寒い寒い冬。

でも

心はあったかホカホカ。

 

 

 

「さーむーいー!!」

 

校舎の中と言えど、まだ冬という冬じゃないので暖房機器は休養中。

教室内は人がいるからか、まだ暖かい。

それが廊下に出た途端一変。

まさに冬状態。

 

 

「風邪ひいちゃうよ〜。」

「学校が寒いってこと、わかってるんだからさ。暖かくしてくればいいじゃん。」

「あたしの朝にそんな余裕があると思っていってるわけ?」

「そんなの、が早く起きれば問題ないじゃん。」

「リョーマだって朝苦手でしょ。」

「俺はちゃんと準備してるから問題なし。」

「むぅー。」

 

2人で寒い廊下を歩き、資料室に向かう。

授業中、席が隣同士のリョーマとは、喋っていて先生に注意された。

そして、罰として先生の手伝いへ行くことに。

 

 

「リョーマが話しかけてこなかったらこんな寒い廊下、歩かなくてすんだのに。」

「さっきのはから話しかけてきたんじゃん。」

 

とっさに始まった口喧嘩。

傍から見たら、単なる仲良しにしかみえない。

 

先生に任された手伝いは、プリントの冊子作り。

3枚のプリントを1冊の冊子にする。

これが結構根気のいる作業で。

既に2人は飽きて、作業を適当にこなしていた。

 

ふと外を見ると、もう空が暗くなってきていた。

冬が近づくにつれて日が落ちるのが早い。

時刻は既に午後5時30分。

 

 

「リョーマ、もう暗くなってきたよ。」

「冬は日の入りが早いんでしょ。」

「もう終わるし、早く帰ろ。」

「この冊子って、このままココに置いておけばいいわけ?」

「それでいいと思うよ。」

 

最後の冊子が出来上がり、リョーマは冊子の束を整える。

既には帰り支度の真っ最中。

 

 

「帰るとなると行動が早い…朝もそれくらい早く行動すればいいのに。」

「ん?何か言った?」

「…別に。」

「ほら。早く帰ろうよ。」

 

はリョーマの腕を引き、ドアまで促す。

 

「わかったから。…腕ひっぱりすぎ。」

「ごめん!…痛かった?」

のチカラだから、痛いわけないじゃん。」

 

リョーマは口端を少し上げて笑う。

 

廊下に出ると、資料室の中とは打って変わって真冬のように冷え切っていた。

電気も少ししかついていない。

教室には生徒が居るはずもなく、静かだった。

 

 

「外はもっと寒いよね…」

「そうなるんじゃない?」

「はァ…ヤダなァ…」

 

はため息ひとつ。

女の子は冷え性って言うけど、対外合っているらしい。

は口元に手をかざし、息を吹きかけて温めていた。

 

俺はそんなにも寒くは感じないし、秋ならコレくらいの温度が普通だと思う。

冬はもっと寒いものだと思う。

雪が降るんだからね。

 

 

 

 

 

 

校舎を出るとの予想通りの寒さ。

 

「益々寒いじゃん!」

 

横を見ると、今度は手を擦っている。

そんなに寒いんだ…

 

 

「ね、ちょっと来て。」

「うん?どうしたの?」

 

はトコトコ俺の方に歩いてきた。

俺はに手を差し出す。

 

「わァ…リョーマの手って暖かいんだね。」

の手が冷たいんだよ。」

 

は笑顔で俺の手の暖かさを喜んでいた。

そっか。

暖めればいいんだ。

 

「えっ…」

「こうすればずっと暖かいんじゃない?」

「暖かいけど…」

「嫌?」

「そ、そんなことないよっ!」

「じゃ、いいじゃん。このままで。」

 

俺は自分の学ランのポケットに繋いだ手を入れた。

中は狭く、繋いだ手のぬくもりを閉じ込めている。

 

2人だけのぬくもり…

 

 

を見ると、頬がほのかに色づいていた。

寒いせいかもしれないけど。

でも。

ちょっと色っぽかった。

 

 

「リョーマは嫌じゃないの?」

「嫌だったら初めからこんなことしないし。」

 

「…ありがとう。」

 

 

聞こえるか聞こえないかの声で言う。

そんな可愛いことするなんてずるいよね。

 

 

「今日はちょっと寄り道して帰ろうか。」

「どこに行くの?」

「別にどこでも。」

「ふふっ、何それ。」

「もっとと一緒に居たいんだよ。」

「あたしもリョーマと居たいな。」

「じゃ、寄り道決定。」

 

 

繋いだ手はずっと離さない。

寒い日も、暑い日も。

明日も、明後日も。

ずっとずっと一緒。

 

この暖かさが約束。

 

心も繋がる。

愛しく思えるぬくもり。

 

ポケットの中で繋がれたぬくもり。

ぬくもりで繋がった心と心。

 

 

愛しい愛しい貴方とのぬくもり。

 

 

 

 

End

 

 

 

++あとがき++

14500Hitを踏んでくださった唯納様に捧げます。

遅くなって申し訳ありませんでした!!(土下座)

今の時期を考えて書きました。ホント、もう寒くてしんどいです。

キリ番Getおめでとうございます。

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