"さよなら"は、また出会う約束。

そこで待っててよ、俺が行くまで。






 





    See you again

 

 









春、卒業の季節。

この青春学園も、例に漏れることなく卒業式を迎えた。

テニス部も、手塚をはじめレギュラー陣の半分以上は卒業していく。

もちろん、マネージャーであるもそうだが。
 

 



渡り廊下でを見つけた越前は、思い出したように声をかけた。



「あ。先輩、ちょっといいっスか?」

「ん?あ、リョーマくん。どうしたの?」



は越前の傍に寄る。

歩くたびにゆれる長い、綺麗な髪はとても印象的だった。



「先輩、今日式が終わったら時間あります?」

「ん〜、ちょっとでもいいならあるけど?」

「じゃぁ、式終わったら部室に来てくれないっスか?」

「うん?いいけど…どうして?」

「後で解るっスよ。じゃ、待ってるんで。」



そう言って越前は体育館へと入っていった。

は頭の上に疑問符が付いていた。





 

 











無事、卒業式も終わり、皆それぞれ写真を撮ったりしていた。

は越前に指定された部室へと足を運んでいた。

未だに何故呼ばれたのかわからず、下を向きながら歩いていた。



部室の前に到着し、ドアをノックする。
 


 


――コンコンッ――

 




「リョーマくん?来たよ?」

「どうぞ、入って。」



中から越前の返事が聞こえ、は部室のドアを開ける。

ドアを開けると、越前はベンチに座っていた。

周りを見渡してみるが、他に部員がいるとは思えない。

きょろきょろしていると、越前が声を掛けてきた。



「何きょろきょろしてんスか。こっち座って。」



そう言って越前は、自分の座っている横に促す。

は素直に越前に言われた場所に座る。



「ねぇ、リョーマくん。何かあたしに用事?」



は気になって仕方がないことを越前に問いたてる。



「そうっスね。用事といえば用事っスよ。」



越前は下を向きながら答える。

隣のは不思議な顔を浮かべる。



「先輩は、青学の高校に行くんスよね?」

「え?あ、うん。そうだけど?」

「俺が高校に行くまで2年っスね。」

「そうだねー。」

「俺、先輩が好きなんだよね。」

「へぇー……って、えぇ!!!?」



は思いもよらない越前の言葉に、危うく受け流してしまう所だった。



「そんな驚くことでもないじゃん。」

「え、いや、驚くよ!でも…ホントに?」

「嘘でこんなこと言ってどうするんスか。」

「本気なんだ…?」

「俺はいつでも本気っスよ?先輩のこと、本気で好きだよ。」



越前はの顔を覗き込み言う。

は体中の血液が顔に集まってくるかのように、顔が火照っているのが解った。



「で、先輩の返事は?」

「え?あっ…す、好き…だよ?///」



赤面した顔を越前に見られないように顔を背けて言う。

でも、もう耳まで赤くなっているの顔は、見なくても検討が付く。




越前はの前にしゃがみ、に問う。



「ね、先輩。"See you again"の意味って知ってる?」

「へ?そ、それくらい知ってるよ!"さようなら"でしょ?」

「へぇ、ちゃんと知ってるんだ。」

「それくらい知ってますー。」

「でも、それじゃぁ意味的には不足っスよ。」

「え、なんで?」

「だって"さよなら"だけだったら、"bye"や"Good bye"でもいいじゃん。」

「あ、そっか。じゃぁ、"See you again"って、どういう"さようなら"なの?」

「"さようなら、また会おう"って意味。」

「なるほど〜。」



越前は立ち上がり、に手を差し出す。

差し出された越前の手に、は少し頬を赤らめながらも手を添える。

越前はの手を引き、部室を出てコートの前まで来た。

すると、目の前に見えるのは…





「わぁー…綺麗に咲いてる…」



が思わず声を上げたくなるほど綺麗に開花した満開の桜。

たまに風が吹いて、花びらを散らしていた。
 




「先輩、もう2年待っててよ。俺、きっと先輩を迎えに行くから。」

「うん、待ってるよ。いつでも、いつまでも。」



越前はに触れるくらいのキスをした。

 



「See you again」
 




そう越前が言葉を落とす。

その言葉は風に乗り、どこまでも運んで行った。


 



ねぇ、この言葉は先輩にしか言わないよ。

俺の中で、また会いたいと思えるのは先輩だけだから。

今度会ったらもう一度今日言ったことを言うよ。


"が好き"ってさ。


今日交わした約束は、ずっと続いて行くから――。

 

俺が隣に行くまで、そこで待っててよ。






End

 

++あとがき++

初王子!!しかも卒業ネタです(笑)

帰国子女な感じを出したかったんだけど…出てねぇ――!!(沈)

次回は頑張りまふ。。。

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