太陽と青空の下で

こうやって過ごすのも


結構いいもんだね。





 







    夏の香り恋の季節 〜前編〜












夏休みであろうとも、部活はあるわけで。

今日もまた部活へと向かっていた。

途中

毎日同じ笑顔と出会う。



「おっはよ〜。」

「おはよ。」

「もう、なんでそんなに朝はおとなしいの?」

「いつだっておとなしいじゃん。と違って。」

「一言よけいだってば!」



俺の隣で少し頬を膨らませながらそっぽを向く

毎朝同じことを言っては、同じ行動で。

普通の人ならいい加減飽きてくるようなことだけど。

俺には日常って感じで、飽きなんてこない。

ま、それもを好きが故なんだけどさ。

わかってんのかな、俺のこの想い。



「ねぇ、夏休みもいつも通りにこうやって一緒に部活行こうね!」

「(や、その笑顔は反則でしょ;)…ま、一応いいんじゃない?」

「やったvもう、素直じゃないんだから〜。」



そんな上機嫌のと一緒に登校。

それはもう、生まれた時から決まってたようなもので。

アメリカで出会い、一緒に日本に帰ってきて。

家も隣同士、親も同級生。

そして同じ学校学年クラス。

ここまで完璧に揃うと、いかにも運命って感じで。

他の人は、俺達を恋人同士だと思ってる。

それもそうでしょ、ここまで一緒なんだから…ね。

でも実際想いを寄せてるのは俺で。

こんなに距離が近いと、かえって踏み出せない大きい壁ってものがあって。


俺はに想いを伝えることも出来ないまま、今まで隣を歩いてきた。

その道が、運命と呼べるものだったらいいのに。








部活中は、例え幼馴染であっても決して慣れ親しさは出さない。

場をわきまえて行動しようって約束したから。


でも、俺は部活中であろうと、が気になる。

好きなんだからしょうがないじゃん?

は、そんなことこれっぽっちも知らないんだろうな。

マネージャーの仕事は、それほど忙しいというわけでもナイらしい。

休憩時間にドリンクを配ったり、タオルを渡したり。


けど

なんか、ちょっと気に入らない。

俺だけでいいじゃん、そーゆーの。


を独占したいと思った。






 





「ね、聞いてた?」

「え?あ、ごめん。何?」

「もう!ちゃんと聞いててよ?」


帰り道、は俺に何か言ってた。

でも、俺は頭の中がいっぱいで。


…俺も、まだまだだね。



「今度の日曜日、海行こう!」

「は?」

「だから、海だってば。」

「誰と」

「リョーマと!あと誰かいるって言うの?それとも…アタシとじゃ嫌?」



俺の顔を覗き込んで、少し悲しそうな顔では問う。

そんな顔しなくても、俺はと一緒ならどこでもいいし。



「別に…いいけど。」

「なら、決定〜!じゃ、これから水着買うから付き合って!」

「はっ!?」

「ほら!早く早く〜。」




 




そのままに引っ張られながら某ショップへと辿り着いた。

いかにも女の子の店って感じの店内。

その店の中からは水着のスペースを見つけ、手に取り悩んでいた。

俺は店内を見渡す。

こんな店に入ったのも初めてなのに、水着って。

って、俺をちゃんと男だと思ってくれてんだよね?


なんか、心配になってきた。




「どんな水着をお探しですか?」

「えーっと」



店員さんがに話しかける。

それには淡々と答える。

やっぱり、こーゆー店に慣れてる感じ。


店員さんは水着を1着持ってきた。

はその水着を受け取り、試着しに行った。



試着室から出てきたは、上機嫌で。

どうやらその水着が気に入ったらしい。

支払いをし、店を出る時店員さんが



「素敵な彼氏ですね。」



と一言。

その言葉に、は笑顔で



「ありがとうございます。」

 



ねぇ、その言葉、期待してもいい?

のキモチは、海に行ったら聞こう。



明日は真夏日よりの快晴。

テレビの中の、お天気お姉さんがそう言ってた。



 



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