君の寝顔はまるで天使のようだった――。

 

 

 





    Under the blue sky 2



 








実験室がある階から僕達の教室は2階も離れていた。

階段を駆け上がり、廊下を駆け足で過ぎた。

だけど、僕は全然疲れない。

まぁ、運動部ってこともあるだろうけど。

それより、彼女のことが気になって疲れなんて忘れていた。


僕は彼女を追いかけて教室までたどり着いた。

軽く息を切らしながら、僕はしまっているドアを開けてみる。
 






――ガラガラ…

 





教室に入ると、彼女は自分の机に座り、すやすやと寝息を立てていた。



「くすっ、寝ちゃってるよ。…可愛い顔して…。」



そうつぶやくと僕は彼女の頬にそっとキスをした。

彼女の顔が可愛かったからもあるけど、僕はそれ以上の感情。

『好き』という二文字が頭から離れなかった。



この感情を表現したかった。

だから彼女の頬にキスした。

彼女はまだ、天使のような寝顔で静かに寝息を立てていた。


僕は彼女に学ランの上着をそっとかけ、教室を後にした。


 

 



彼女が教室で寝ている化学の時間は、先生には"保健室に行った"と伝え、誤魔化しておいた。

僕の隣の席の英二は僕に何度も彼女のこと聞いてきたけどね。



「ねー不二ー。さん、さっきの時間どうしたんだろうね?」

「そうだね。」

「不二、ホントに知らにゃいの?」

「だから知らないって。あんまりしつこいと…(プチ開眼)」

「…ご…ごめん…(怯え)」


廊下を教室へ向かいつつ、英二と話していた。

彼女は起きたのかな?


 




私は教室に忘れ物を取りにいって、机に伏せて寝てしまっていた。

窓から入ってくる風が心地よくて、うとうとしてしまった。


私は夢を見た。

机で寝ている私の元に、天使がやってくる夢。

その天使はキレイなブラウンの髪を輝かせていて、とても笑顔が綺麗だった。

やさしく、微笑んでいるような笑顔。

この天使の顔、どこかでみたことがあるような気がしたんだけど…。

そして天使は帰り際に私の頬にそっとやさしくキスを落として行った…。



「ん…。夢…?なんだけ凄いリアルだったなぁ。」



眠りから覚め、伸びをすると肩から何かが落ちた。



「ん?なにか落ちたよね?」



そこに落ちていたのは“不二周助”とネームの付いた学ランだった。

私はすぐに不二君の顔が浮かんだ。

さっき夢に出ていた天使と同じ笑顔の人。

じゃぁ、さっきの天使は不二君…?

私はそう思いながら、学ランを拾った。



 

 


僕は英二と一緒に教室に向かっていた。

英二に「不二、学ランは?」って聞かれたけど適当に誤魔化した。

だって学ランはさんにかけてきたから。


僕と英二が教室に着くと、さんは窓から外を眺めていた。



「にゃ〜さっきの時間はどうしたの?」

「ん?ちょっと…ね。」

「英二、さんは具合が悪かったんだよ。」

「ほえ?そうだったの?」

「え。う、うん。まぁね。」



そう言って彼女はまた外を眺める。

外は今日も綺麗に澄み渡った青空が広がっていた。





時間は昼休みになった。

僕は英二とお弁当を持って屋上へ行った。



「不二〜今日はどこら辺で食べる?」

「ん?英二は何処がいいの?」

「俺はね〜…あっ!さん。」

「え…。」



そこには屋上のフェンスにもたれ掛かり、空を眺めているさんがいた。



「やっほ。さんもここでお昼?」

「あ。菊丸くん。それに不二くんも…。」

「こんなところでどうしたの?」

「いつも二人がここでお昼食べてるって聞いて。あの…不二くん。ちょっと…いいかな?」

「え?うん、いいけど…」



僕とさんは英二をそこにおいて、反対側に移動した。


僕とさんはフェンスにもたれ掛かるようにして空を眺めていた。

空は、雲ひとつもない澄んだ青空だった。



「今日の化学の時間、不二君あたしに学ラン掛けてくれたでしょ?」



そう言ってさんは僕に学ランを手渡した。



「うん。だってさんすごく気持ちよさそうに寝てたから。」

「そのあと不二君すぐ化学に行った?」

「え?」

「あたしね、夢を見たの。」



そう言って彼女は座り、夢の話を僕にし始めた。


僕は彼女の話す夢の話をずっと聞いていた。

聞いている時、心地よい風が頬を撫でていったのわかった。

隣を見ると、綺麗な長い髪をなびかせているさんがいる。



「心地よい風があたしに向かって吹いて来ていたの。そして、あたしの前に一人の天使が来たの。」

「天使?」

「うん。その天使は綺麗な髪でとても優しそうな笑顔だった。心が温まるような

 包み込んでくれているような笑顔。そしてね、帰り際にあたしの頬にキスを落として行ったの」

「え…」


僕はその話を聞いた途端、脳裏に化学の授業前の光景が浮かび上がった。


僕は――。
眠っているさんに学ランをかけて、そっとキスを落とした。

もしさんが言っていることが夢じゃなく本当のことだったら――?



「その天使はね、とても不二くんに似ていたの――。」


 





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