俺はあの頃

ただひたすらに恋をしていた

 

…時間がなかったんだ

 

 

 

 

 

 

    ただひとつの想い

 

 

 

 

 

 

あの日からどのくらいだったかな。

君を想わない日なんて、無くなったのは…

 

 

 

 

「おはよー」

 

あの夏からもう3ヶ月。

俺はいつも通りに学校に行く。

朝起きて、あの時さんに言われたことを思い出す。

いっそ、夢だったらいいのにと、思わずにはいられない。

 

 

「おはよ」

「あれ?不二ー寝不足なんじゃない?」

「うーん。ちょっとね」

「ふ〜ん。不二にしてはめずらしいね」

「部活までに充電しなくちゃね」

「あ、俺のセリフー!!」

 

こんないつもと変わりのない毎日がつづく。

ひとつだけ違うのは

 

「おはよ〜」

「あ、おはよ!さん」

「おはよう」

「2人とも朝から仲良しだね〜」

「同じクラスだかんねー」

「英二が勝手に付いてくるんでしょ?」

「ちっがァーう!!」

 

俺達の輪にさんが加わったこと。

さんが好きな俺、不二が好きなさん。

仲良くしようと持ちかけたのは俺。

不二とくっつかれてもさんを好きな俺としては困るけど、

出来るなら、さんの傍にいて、さんの笑顔を見ていたかったから。

さんの幸せそうな笑顔が見れれば、それでよかった。

 

俺だけがさんの想いを知ってる。

不二だけが俺の想いを知ってる。

さんは誰の想いも知らない。

 

 

「ねぇ、英二」

「ん?なに?」

「英二はこれでいいの?」

「どーいうことだよ」

さんにキモチ伝えなくて…」

「いいんだよ」

 

そう、いいんだ。

まだその時じゃないんだ。

今はただ、その笑顔を見ていられればそれだけでいい…

 

 

 

「俺さ」

「ん?」

 

「本当にさんが好きなんだ」

 

「知ってるよ」

 

昼休みの屋上。

隣に座ってた不二が少し微笑んで返してくれた言葉。

『知ってるよ』

その言葉には何か、本当に心から応援してくれていることが伝わってくる。

 

ありがとう、不二。

 

もうすぐ冬が来る。

白い雪が降り積もる冬。

雪が溶ければ春が来る。

俺達は2年生になる。

 

俺の想い、君の想い、それぞれの想い。

この先交わることを、切に願う。

 

 

「きっと最初で最後だよ」

「何が?」

「俺が恋に本気になれるのは」

「それほど好きなんだね」

「うん」

「じゃあ英二には話さないといけないな…」

「…え?」

 

 

ただ恋に夢中になっていた俺は

不二とさんの関係に気が付いていなかった。

 

 

 

Next Soon...

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送