ねぇ、その言葉に偽りは無いよね。

貴方の真剣な視線が、私を捕らえて離さないから――。



 



 








    君の瞳にしてる

 












いつも一緒に帰ったり、恋人同士でする行動は一通りやってると思う。
周りから見れば至って普通のカップルだろうと、私は思ってた。

でも。さっき言われた言葉に、私はかなりの衝撃を受けた。

 



さんと跡部様って、全然つりあってないよねー。』

 


 


誰がそう言ったのかは、わからない。
単に通った廊下で聞こえてきた言葉だったから。
それでも、私には十分過ぎる言葉だった。
すごく心配になってきた。


景吾は…どう思ってるんだろう?

 

 





 







「ねぇ、景吾。」

「アーン?なんだよ。」



私はお昼休み、いつも景吾とお昼を一緒に食べる。
その時、聞いてみようと思ってた。



「景吾は、私でいいの?」



景吾は、言葉の意味が解らないような顔をして私の方を向いた。



「なんだよ、それ。」
「そのままの意味だけど…」
「お前は、俺じゃ嫌なのかよ。」
「そ、そんなことあるわけないじゃない!」
「だったらいいじゃねぇか。」
「うーん。でも、景吾は?」
「さぁ、どうだろうな。」



景吾は表情を崩さずにそう言う。

それは、どういうこと?
どっちでもいいってこと?


景吾は、私じゃなくてもいいんだ…



 

 




 

 

 




「…景吾……別れよ…」





 

 

 

 

 




私は、今にも零れだしそうな涙を必死にこらえて言う。
もう、景吾に弱い所は見せたくなかったから。


景吾に、私が必要じゃないなら、傍に居たって意味がないじゃない…。
どうせなら、景吾が必要としてる人を傍に居させればいいじゃない…。


そう思ったから、私は別れを告げた。
きっと景吾もそれに同調してくると思ってた。
あぁ、こんなままで終わっちゃうんだ…って思ってた。


でも。景吾が返してきた言葉に、私は耳を疑うしかなかった。




 

 

 

 

 






「俺は別れねぇから。」



 

 


 



 

 




必死にこらえてた涙が頬を伝って零れ落ちた。
景吾のホントの気持ちはわからないけど、その言葉が嬉しかった。

そのたった一言が嬉しかった。

景吾に必要とされてるようで、景吾の隣に居ることを許されたようで…。
こらえてた涙が止め処なく溢れてきた。

 

 



「なんで泣くんだよ。」



景吾の大きい手が私の頭を優しく撫でる。
私はこの手に守られてきた。
それはこれからも同じだと、期待してもいいの?



「だって…だって…っ…」
がなんで別れたいって言い出したのかは解らねぇけど、俺はと別れる気なんてねぇんだよ。」
「…別れるなんて嘘っ!私だって景吾と離れる気なんて無いよっ…」
「じゃぁ、何で急に別れるなんて言ったんだよ。」
「…た、たまたま通ってた廊下で、誰かが私と景吾はつりあってないって…言ってたのが聞こえて

 …私と居ると…景吾が辛いんじゃないかと…思って…」
「そんなこと気にしてたのかよ。」



小さくため息をして景吾はそう言った。
そして景吾は私を自分の方へ抱き寄せ、優しく自分の腕の中に収めた。



「俺はさ、と居られれば誰に何言われてもいいんだぜ?」
「私だって…」
「なら、別れるなんて考えるなよ。そんないやみのひとつやふたつくらい、軽く流せばいい。」
「うん…ごめん…」
「俺にとっては必要な存在なんだよ。傍に居ないとどこか物足りなくて、心配で…。から片時も目を離したくねぇんだよ。」



景吾は、今まで以上に私を強く抱き締めながらそう言う。
その手に込められた力に、また涙が溢れてくる。


私は、景吾に大事にされてていいんだよね。


この手に込められた力に、愛しさをも感じてる。
景吾を好きになってよかった。
愛しいと想える人が景吾でよかった。


こんなにも私を大切にしてくれる景吾に、出会えてよかった。



今、素直に心からそう想える。
 

 




「俺にとって、は絶対不可欠なんだよ。」

「私も…景吾が傍に居ないとダメ…」



景吾は一旦、私を腕の中から解放し、私の瞳を一直線に見る。

景吾の綺麗な瞳があたしの瞳を捕らえて離さない。

瞬きさえも惜しいほど、景吾の瞳に見入ってしまう。



「俺は、と一生一緒にいる覚悟がある。でも、がまたいやみとかで俺と居るのが辛くなるんだったら

 今のうちに俺から離れて。俺は、に辛い思いをさせたくない…」



真剣な目でそう言う景吾。
そんなこと聞かないで。
私の答えはもう決まってるんだから。


景吾と出あった時から…。



「そんなの、景吾と一緒なら乗り越えられるよ。」

「フッ、そう言うと思ったぜ。」



そう言うと景吾は顔を近づけてくる。
私もそれにあわせて目を閉じる。
景吾が私にやさしいキスをくれる。
それも次第に深いものに変わっていく。

お互いの気持ちを確かめ合ってるかの様に…。





ねぇ、景吾。
さっきの言葉は景吾の気持ちそのものだよね。
景吾の瞳に偽りの色はなかったから。


景吾の瞳、私は大好き。
真実だけを写す瞳。
捕らえられたら逃れられない。


それが景吾と出合った時に感じた、景吾そのものだから。


私はずっと、景吾のとなりで景吾に恋し続ける。





景吾も、そうであったらいいな――。



 



End

 

++あとがき++

久々の俺様(笑)俺様もたまには切なくなろうや。

最近切ないからこんな話ばっかり浮かぶ…。でも、書く時間が無い…(沈)

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