みんなに見せつけちゃおうか。
俺達の幸せぶりを――



 

 





    Sweet day



 

 





「どうしよう…」



キッチンに立ち、腕を組んで悩んでいる少女がいる。

。彼女は今、もの凄く悩んでいた。



「何作ればいいんだろう?」



が悩んでいたもの、それは”バレンタインチョコ”
女の子にとって一番悩むだろうと言われる2月14日。
その日のために、は何を作ろうか悩んでいた。



「やっぱりチョコレートがいいのかな?それともチョコクッキーとか…?」



悩み続けて30分。そろそろ結論を出したい所だが、まだ悩み続けていた。
何故こんなに悩むのか、それは彼氏である、菊丸に喜んでもらいたいがためだった。
いつも、優しく微笑んでくれる菊丸。はその笑顔が大好きだった。

“自分の作った物を食べて笑顔になって欲しい”

はそう思っていた。








 

 




 






―――――2月14日。



今日は朝からやけに学校中が慌ただしい。



「まぁ、バレンタインだし…ね。」



はそう自分に言い聞かせて教室へと歩いていった。
教室のドアを開けると、凄い光景が目に入った。



数十人の女の子が菊丸の机を取り囲んでいた。
同じクラスの不二の方はもっと凄いが…。
はそんな光景を目の当たりにして、胸が苦しくなった。



「英二は、あの子達みんなのチョコを貰うのかな…」



は小さな声で呟き、自分の机へと着いた。





 

 






お昼休みになると、その光景も一層増していた。
菊丸の机には、代わりがわり女の子達がやってくる。
と菊丸の席は丁度反対側にある。
の席からは、菊丸の姿を確認出来なかった。



「英二は優しいから、みんな受け取るよね…。それじゃ、私のチョコはいらないよね…」



は自分の鞄の中にある、昨日悩みに悩んでやっと完成したチョコの入っている箱を見た。

ラッピングも綺麗にして、菊丸に渡そうと思っていたモノを。






 

 










放課後になってもこの騒ぎは収まりそうになかった。
テニスコートの周りも、プレゼントを抱えた女の子でいっぱいだった。

は、その様子を少し離れた場所から見ていた。
菊丸は普段通りに練習をしている。
唯一普段と違うのは、あの優しい笑顔がないこと。
今日、やっと菊丸を見れたはいつもと違う菊丸に気が付いた。



「英二?…いつもの笑顔じゃないよ?」



はとても心配だった。









 

 

 





部活も終わり、は菊丸を待っていた。
部室から出てきた菊丸を見ると、やはり笑顔がなかった。



「英二?」
「ん?あ!!やぁーっと会えたぁ!!」



菊丸はに抱きついた。



「今日はホントもう嫌。なんでこんなに大変な日があるんだよー!」
「しょうがないよ。今日はバレンタインだから。みんな英二にチョコ渡したいんだよ…」
「でもさ、俺まだ誰からも貰ってないよ?」
「え…?」
「だってさ、俺、からもらえれば十分だし?他の子のなんていらないよ。」
「英二…ありがと。はい、これ。」



はそう言って鞄の中にあったチョコを菊丸に渡した。

 



「俺、今日はコレだけもらえれば幸せなんだっ。」

 



そういう菊丸にはいつもの笑顔があった。
は、その笑顔を見ているだけで、顔が緩んでしまう。

“やっぱり英二の笑顔は優しいね”

は心の底から嬉しくなっていた。



「ね、開けてもいい?」
「うん。いいけど…味の保障はしないよ?」
が作ってくれたことに意味があるの!」
「ありがと。」



菊丸は包みを取り、が作ったチョコをひとつ口へと運ぶ。
その光景をは緊張しながら見ていた。

“美味しい?美味しくない?”

菊丸の表情ひとつひとつ気にしながら見ていると…



「ん!美味しい〜。のチョコすんごく美味しいよ!」
「ホント!?」
「ホントホント。俺がにウソついてどうすんのさ。」
「よかったー。」



は安心した笑顔で菊丸を見た。
すると菊丸もの好きな優しい笑顔で――。
は心から嬉しくなった。
菊丸を笑顔に出来たことが、にとって一番嬉しいことだった。



「よっし。それじゃ、帰ろうか?」
「そうだね。」
「ほい。」



そう言って菊丸はに手を差し出した。

その手をは幸せそうに握る。






 

 

 

 




校門まで来ると、菊丸を待っていた女の子達がいた。



「ねぇ、英二。まだ待ってるよ?」
「気にしない気にしない。俺はからしか貰わないの!」
「でも…」
「んー。そだ!、ちょっちこっち向いて?」
「え?何?」



そう言っては言われた通りに、菊丸の方に向き直った。

すると…

 

 







チュッ――…



 

 





菊丸はにキスをひとつ落とした。



「ちょ、ちょっと!」
「しー。後でいくらでも怒られてあげるから、今はみんなに見せつけよ?俺達がこんなにも幸せなとこ。」



菊丸は笑顔でそういうと、今度はさっきとは違う、深い深いキス。
は、次第に菊丸とのキスに酔っていった。

菊丸を待っていた女の子たちは、慌ててその場を離れていった。



「英二のキス…甘かった。」
「さっきのチョコ食べたしねー。でもさ、普通にとキスしても甘いよ?」
「なっ///」
「あー赤くなってるー。可愛い〜。」
「英二!!」
「ありゃ?みんなどこか行っちゃったよ。」
「英二がこんなことするからじゃない?」
「なんだよー!俺が他の子のチョコ、受け取ってもいいの?」
「それはヤダ。」
「でしょ?だったら見せつけて正解だよ。俺にはしか必要じゃないってことわかったと思うし。」
「…バカ…」
「そんな赤い顔して言われてもなー。嬉しいだけなんだけど?」
「もう!ほら、帰るよ?」
「ほいほーい。」



は少し頬を染めながら、菊丸と手を繋いで校舎をあとにした。








やっぱりさ、バレンタインは一番好きな最愛の人からもらえればいいんだよ。

他にはいらない。君のチョコしか――。




 





「ねぇ、これから俺の家いかない?」
「ん?何で?」

「さっきのキスの続きしたいからv」

「バカ…///」


 





End

 

 

++あとがき++

バレンタインですよ!こんな甘い日を過ごしたいです…。

素敵なバレンタインをお過ごし下さいv

(2004,5,20 一部改正)

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