君の笑顔を見たいと思う瞬間。
それは、こんなキモチのいい日。




 

 







     晴れたと笑顔の

 

 








すぅーっと伸びた空を、眩しそうに見上げながら
心地よさそうに寝転ぶ。

瞼を閉じると、視界一面が赤くなる。
太陽のチカラってこんなにもすごいんだと思い知らされる。



少し離れたところで、午後の授業を始めるチャイムが鳴り響く。
その音にも全く気付かない

ようなフリをして寝返りを打つ。





「こんな晴れた日に勉強なんてしてられないっしょ。」



そう呟くのは
さっきから屋上で寝転んで空を見上げている

3年6組、菊丸英二。


太陽の熱で温まった屋上のコンクリートの床が気持ちよく
昼休みからずっとこうしていた。


寝転んで目を開けると
眩しい日差しと
青々とした空だけ。


大きい雲や小さい雲。
小鳥や蝶が空を舞う。


午後の授業が始まってからもう10分程度が過ぎた。
屋上にいるのは菊丸一人。
太陽に一番近い、屋上のドアの真上にある場所に寝転び、空を眺める。
この空を独り占めしている気分だった。










――バンッ――





そんな心地よさを感じで早20分。
屋上のドアが開く音がして菊丸は目を開ける。



「英二ー?いるんでしょー?」



聞きなれた心地よい声が、開いたドアの方から聞こえる。
菊丸は上体だけ起こし、下のドアの方を見る。


そこにいるのは、まさしく心地よい声の持ち主。
同じクラスで彼女の
の黒い綺麗な髪が、風になびいていた。


は菊丸の気配がしないのか
ドアの所で回りをキョロキョロしていた。






「こっちだよ、こっち。」



ドアの上から声をかける。
はその声に気付き、真上を見上げる。



「またそんなとこに居るー。もう、何授業サボってるのよ。」
「いいからいいから。ま、こっちおいでよ。」



は「仕方ないなぁー。」と言って、ドアの横のはしごを上る。

視線の先にはにこやかに微笑む菊丸がいた。



「俺としかいないから大丈夫だよ。」



スカートを気にしながらはじごを上るに菊丸は手を差し伸べる。
はその手を取り、最後の一段を上りきる。



「ありがと。」

「ようこそ、俺の特等席へ。」



手を横に広げ、にっこり笑って菊丸はそう言う。
そんな菊丸にも自然と微笑む。



「で、英二。今日はなんでサボってるわけ?」
「だってすっごいイイ天気なんだもん。」
「英二、晴れの日は大体サボるよね?」
「ここで寝転びたいじゃん。」



はため息をつく。
こんなににこやかに話す菊丸は
もう止められないことを知っているから。



「授業中に英二が居ないのを不二君が気がついてね。きっとここじゃないかと思って呼びに来たの。」
「呼びに来てくれたのは嬉しいけど、俺戻る気なんてないからね。」
「そう言うと思って、不二君に来てもらおうと思ったのに。不二君の目が私に行けって言ってたからなぁ…。」
「ま、も寝てみなよ。」
「制服汚れるじゃん…。」
「そんなの気にしない気にしない。ほら。」



菊丸は床を少し払って、を促す。
寝転ぶとまではいかないが、菊丸の横に腰を下ろす。
菊丸を見ると、空を眺めていた。


もつられて空を眺める。







「うわ――…」



が見上げた空は大きくて
青々として、とても澄んだ空だった。



「ね、綺麗っしょ?」
「うん。」

「この空を独り占めしたいからサボるんだよ。」




この空を見たら、菊丸の言葉も納得するくらい
見上げた空を独り占めしたいと思った。



「俺さ、この空を見てるとが浮かんでくるんだ。」
「私?」
「うん。の笑顔は、こんな綺麗な空に似てるから。」



菊丸の言葉には頬を赤く染める。
視線を菊丸から外し、また空を眺める。



「じゃあ英二の笑顔はこの空によく映える太陽だね。」
「俺、太陽なの?」
「うん。私の傍にいてくれて、いつも暖かい存在なの。」



は微笑んでそう言う。
隣を見ると、菊丸が頬を染めている。
は、そんな菊丸が見れてちょっと貴重な気がした。


すると、菊丸は何か思い立ったかのように顔を勢いよく空へ向ける。



「ね、じゃあさもっと暖かくしてあげよっか?」

「へ?」



の方を向いた菊丸の笑顔は
先ほどとは違って、何か考えているような笑顔。
というよりも、たくらんでいる様に口の端を少しあげて笑っている。

そう思っていたら、今度はに近づいてくる。



「ちょ、ちょっと。なんで距離縮めてくるのよ。」
「んー、ここまできてわかんない?」

「え、そ、それは…」



さっきの清々しさとは打って変わって
の顔は焦りの表情に変わっている。



「じゃ、いいよね?」



菊丸はどんどんに顔を近づけてくる。
そんな菊丸には少々後ずさり気味。



「え、英二?冗談でしょ?」
「ここまできて、んなわけないじゃん。」



菊丸はそう言うと、の腕を掴む。
するとの視界は90度回転し、見えるのは青い空と英二の笑顔のみ。



「それじゃ、さっそく…」

「ちょっとちょっと
ちょっと――!!



の思いっきりの抵抗。

でも、菊丸のチカラにはとうていかなわなく、あっさり撃沈。



「おとなしくしてよー。」
「英二が悪いんでしょ!」
「俺のチカラにが勝てるわけないっしょ?」
「わ、わかってるよ…。」
「わかってて抵抗するんだ?」
「だ、だって…。」
「ま、そんなとこも可愛いんだけどね。」
「そ、そんなこと言ってもダメなものはダメ――!!」
「いいじゃんー。」
「ダメだってば!」



それでもに手を出す菊丸。

懲りない猫がここに一匹。



もちろん、この後いくら言っても聞こうとしないので
殴られたことは言うまでもなく。





ほら、

今日も快晴お昼寝日和。

空を見上げれば

君の笑顔が見たくなる。


今日も一緒にこの空の下で

いっぱいいっぱいお喋りしようか。




 


End

 

 

++あとがき++

最近のあたしが書く英二は、あんまりってか寧ろ猫語は使わない方向なんです。

アニメにしても、最近にゃんにゃん言いすぎだと、あたしは思います。

そして、一応ギャグ目指しました。

つーか、コレギャグなの?という突っ込みはナシの方向でお願いします(笑)

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