ほら、また魔法にかかってる。
俺を魔法にかけるのは、君しかいない。




 


 



     君のはまるで


 


 






「ねぇ。って魔法使い?」

「は?」



急に菊丸はに問いかけた。
それはにとって、全く持って意味が解らない内容で――



「なんで私が魔法使いになるのよ。」
「ん〜でもさ、俺はなんかの魔法にかかってるよ?」
「なにそれ。」
「ま、いいや。そのうち解ると思うよ。」



そんな意味深な言葉を残し、菊丸は自分の教室へと入っていった。
は授業中も菊丸の言葉が気になっていた。

“私が…魔法使い?…私が?英二は魔法にかかってる?”

はますます意味がわからなくなっていた。















 



授業も終わり、放課後になった。
テニス部はいつも通り、コートでの部活をしていた。
休憩時間になり、菊丸はコートを出て、がいるフェンス脇の木の下にやってきた。



「ねぇ、英二。私が魔法使いって?」
「ん?まだ考えてたの?」
「だって英二が"そのうち解る"とか言っていくんだもん。」
「あぁ。でも、そんなに考えなくてもそのうち解るって。」
「ん〜。」
「それよりさ、明日の家に遊びに行ってもいい?」
「うん、別にいいよ。」
「やった。明日が楽しみだ〜。あ!手塚が呼んでるから行かないと!もうすぐ終わるから待っててねん。」
「はいはい。ほら、早く行かないとグラウンド走らされるよ?」
「そ、それは嫌だぁー!!」



そう言って菊丸はコートへと戻って行った。
は、フェンスの外から菊丸を見ていた。



菊丸はいつも楽しそうにプレーする。
はそんな菊丸をみているのが、とても好きだった。
たまにこっちを見ると手を振り、手塚に注意される。その繰り返し。
周りにはテニス部を見に来ている女の子達がいるのに、英二の瞳は私だけをみている。
 


そう思うとすごく嬉しい。















―――――次の日。



「こんにちわー!」
「いらっしゃい。上でいいよね?」
「もちろん!」



は「先に上がってて〜」って言って、キッチンに入って行く。
初めて来たわけじゃないから、部屋の場所は知ってる。

俺はに言われた通り、先に階段を上り、の部屋へと進む。
の部屋は階段を上って突き当たりの部屋。
ドアを開けると、女の子って感じの部屋が広がる。

必ず毎回目に付くのは、俺が持ってる大五郎と似てる、大きいクマのぬいぐるみ。
俺はソレを抱きかかえ、ベットの横に座る。



「オレンジでよかった?」
「なんでもいいよ〜。」
「はい。英二はこの青いグラスね。」
「ほいほい。」
「あ。またソレ抱いてたの?」
「うん、なんか大五郎思い出しちってさー。」
「似てるよねー、英二の大五郎と。」



は俺の向かい側に座る。

私服も可愛い!



「英二?どこ見てんの?」
「え?あ、いや!べ、別に?」
「でさ、まだ気になってたんだけど…私が魔法使いって何?」
「あぁ、アレね。まだ気になってたの?」
「英二の言葉が意味深なんだもん。」
「でもさ、そのまんまの意味だよ?」
「私魔法使いじゃないよ?」
「俺にとっては魔法使いだよ。」



は俺の言葉にますます悩んでた。

そんなに難しいことかな〜。



「ね、俺さ、たまにすんごくの声聞きたくなる時があるんだよね。」
「私もあるよ?すっごーく英二の声が聞きたい時。」
「それじゃ、にとって俺は魔法使い?」
「は?」

「俺はさ、の声聞くだけですんごくに惚れちゃうし、会いたくなるんだよ。」
「私だってそうだよ。英二と話したりしてると、ますます好きになっちゃうもん。」
「だからさ、の声は俺に魔法をかけてるの。もっと惚れるように。」
「あぁ!なるほど!だから魔法使いなのね!」
「そゆこと。にとっては俺が魔法使いでしょ?」
「うん、そういうことになるね。」

「これからも俺に魔法、かけてよ?」
「もちろん。英二も私に魔法をかけてよ?」
「毎日かけてあげちゃうよ。」



の声は魔法のようだけど、瞳とか、髪とか。
のすべてが俺にとっては魔法だよ。

これからも、俺に魔法をかけ続けて。
俺もに魔法をかけ続けるから。

 




ずっと好きでいてくれますように――ってね。


 




End

 

 

++あとがき++

あたし的には英二の声に魔法がありそうだと思う。

だって、こんなにハマっちゃったんだもんv(笑)

(2004,5,20 一部改正)

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