これからいっぱい詰めこんでいくから。
 

 

 




    大五郎

 

 

 



俺が5歳になる頃、お母さんとお父さんが俺にプレゼントをくれたんだ。
それが『大五郎』今でも俺の部屋で大事にされている大きなクマのぬいぐるみ。
ふわふわで抱き心地がとってもいい。
でも。流石に古くなってきたけど、俺は絶対捨てない。





「コレが噂の大五郎?」

「何?噂って。」


今。大五郎を抱えつつ、俺に尋ねて来ている女の子。
俺の彼女の
の家には何度か行ったことがあるけど、俺の家は初めてだね。


「なんかね『英二の家にある大きなクマ。触るといいことがあるみたいだよ?』って、不二君言ってたよ?」
「はぁ?なんでそんなこと…」
「え?違うの?」
「別にいいことなんてないと思うけど?」
「な〜んだ。残念。」
「信じてたの?」
「うん。だって不二君が言ってたんだし。」


それは信じちゃダメだよ!


俺なんて不二に何度騙されたことか…。




 

 

 

 

 

 




―――春。



「不二!あのさ!」
さんが好きなんでしょ?」
「え!?なんでわかったの?」
「英二の考えてることなんてわかっちゃうよ。それより告白しないの?」
「う〜ん。それがさぁ。さん、好きな人いるみたいなんでしょ?不二言ってたじゃん。」
「へぇ。英二はそんなことで諦めちゃうんだ?」
「そっ…そんなこと!」
「じゃぁどうするの?早くしないとさん、その人に告白しちゃって付き合うかもね?」
「うっ…」
さん可愛いし。相手は即OKだろうね。」
「ふ、不二〜(泣)」

「フフッ。さぁどうするの?」

 


放課後。部活前にこんな会話をしていた。
俺はこの会話の後、部活が終わったらすぐに告白しに行ったんだよな。
不二が「ほら。さん帰っちゃうよ?」にゃんて急かすから。
でも。告白は大成功!その日から俺達は恋人同士になったんだよね。
不二に報告に行ったら…
 


「よかったね英二。僕がはっぱかけなかったらどうなってたんだろうね?(クスッ)」
「は?じゃ、じゃぁさんは別に好きな人とかいなかったの?」
「ん?好きな人は居たよ?」
「え。誰?誰!?」
「それはね、英二だよ。」
「えっ?お、俺!?」
「うん。そう。僕がさんに相談されてたんだ。」
「なんだよー!!言ってくれてもいいじゃんかぁ!!」
「だってさんに『絶対言っちゃダメだよ!』って口止めされてたしね。英二を急かすいい機会だと思って。」
「なんだよぉ…。俺、すんごい焦ったんだからな!」
「でも、結果的には上手くいったでしょ?」
「そうだけど…なんかフに落ちない…。」




 

 

 

 





―――そして現在。



そういうことがあってから、俺とは付き合い始めたんだよにゃ。
まぁ今が凄く幸せだからいいけどねん。


「英二?」

「ふぇ?」


顔を上げると、の顔が目の前にあった。
大きくて真っ黒な澄んだ瞳が俺を覗き込んでいた。


「何一人で考えてるの?やらしー。」
「ち、違うって!思い出してたんだよ!」
「何を?」
「俺達が付き合い始めた日。」
「あの不二君にはめられたってこと?」

「うん、そう。」


はくすくす笑ってた。
俺がなんだよー!って聞くと。


「あの時の英二はホント必死だったよ?」


って。
俺、そんなに必死だった?
そりゃぁ、他の奴に持って行かれる位なら当たって砕けろの勢いで告白しに行ったけど。


「ねぇ。それよりこのクマ。」
「大五郎!」
「うん。大五郎。大五郎はいつからここにあるの?」
「俺が5歳の時から。ずっとこの部屋にあるんだ。」
「へぇ〜。英二のお気に入り?」
「うん。大石との思い出もあるからね。」

「そっか。じゃぁ私も触ってていい?」
「いいけど…。なんで?」

「私の思い出も入れて欲しいから。」


そう言って軽く微笑んだ。
ずるいよ。そうやって可愛く微笑むの。
俺のツボ入りまくり。可愛過ぎるんだよ!

もぅ。あんまり可愛いと…
 



「きゃ!英二!?」


つーかまーえた。
そして俺はに軽くキスを落とした。
はちょっと顔を赤くして


「もぅ。英二のバカ。」


そう言って、俺の胸をポカポカ軽く叩く。
そんなの全然痛くなんかないよ。寧ろの愛を感じるね。


「いっぱい…いっぱい、私の思い出も入れてね?」
とは"思い出"じゃないよ。"想い出"だよ。」

 


は驚いてたみたいだけど、俺にはこれしかないからさ。
"思い出"じゃなくてとは"想い出"になるんだよ。


「これからはでいっぱいになるんだよ。」


そう言って、俺達は抱きしめ合った。
が持っていた大五郎は横に置いて。
お互いの心の音が聞こえてくる。
が俺の腕の中にいる。
もう、それだけで十分幸せだよ。


「英二。私、今とっても幸せだよ。」


の一言一言がとても愛しく思えた。


大五郎に、これからとの思い出をいっぱい詰めていくから。
これからも俺のそばにいてよ?




 

End

 

 

++あとがき++

大五郎が正直言って欲しいです(ぉぃ)

初ドリームが英二でよかった!でも、なんだかしっくりこないです。

力不足だぁ!!今度はちゃんとしたモノを!!(笑)

(2004,5.20 一部改正)

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送