見上げた空はあまりにも青くて

眩しいくらいに目が眩んで

私は瞼を閉じる。

 

 

 

 

 

 

    青く澄みきった

 

 

 

 

 

 

今日もまたいつもと同じように仕事をこなす。

こなすと言っても終わった傍からどんどん追加されていく。

またか…コムイ室長…

この仕事にも慣れてきた。

なんか、慣れてきている自分がものすごく嫌なんだけど。

 

リナリーと同期の私は、リナリー同様室長助手。

助手と言ってももちろん私達もエクソシスト。

たまに任務に出かけたりする。

 

 

 

「今日は良い天気だなァ…」

 

書室の窓から見える空に呟く。

お昼には中庭でランチっていいかも。

なんて思いながら。

 

 

ふと視線を処理していた書類に移すと

メモが置いてあった。

辺りを見回しても誰もいない。

 

「何?これ。」

 

メモを読む。

”お仕事ご苦労様です。

ちょっと下の中庭を見てください。”

 

「中庭?」

 

席を立ちさっきまで見ていた窓を開け

下の中庭をみた。

 

 

プカ〜

 

 

丸い丸いキレイに透き通ったシャボン玉が舞い上がってきた。

木の木陰に誰か座ってシャボン玉を吹いている。

 

「あ、アレンくんっ?」

「こんにちわ。」

 

木陰で座っていたアレンは上を見上げて

微笑みながら挨拶する。

頭にはティムキャンピー。

 

「ちょっと待ってて!今下に行くから!」

 

 

 

 

コツコツコツコツ…

 

階段を降りる音がなんだか楽しそうな感じに聞こえてくる。

アレンくんの笑った顔、昨日見たものと同じ。

なんでだろう…?

あの笑顔が忘れられないよ。

 

 

足早になって行き着く先は

アレンくんが待つ中庭。

 

1階の通路を抜けると広がる

新緑の木々と青々とした芝生。

小さな花壇が6つ、真ん中の噴水を取り囲んで花開いている。

噴水に近い木の下に座り、シャボン玉を吹くアレンくんがいた。

 

「今日は任務ないの?」

「昨日帰ってきたばかりですしね。」

「そっかー。休暇なワケね。」

さんはまたコムイさんの仕事ですか?」

「そうなのー…って。なんで私の名前知ってるの!?」

「さっき書室で団員名簿見てたんですよ。なのに、全然気付かないし。」

「あ、そうだったの?」

「あの名簿って便利ですよね。顔写真付きで色々書いてあるし。」

 

 

そう言ってまたシャボン玉を吹く。

 

 

「そういえば。さんって僕と同い年なんですね」

「え?そうなの?私はてっきり…」

「どうかしましたか?」

「あ、ごめん。髪が白い所為か年上だと思ってた…」

「よく言われるんですよー。」

「でもキレイな白髪だよね。」

「そうですか?」

「うん。それに、同い年なんだから敬語とかいらないよ?」

「あーでも、コレは癖っていうか…」

 

ちょっと照れたように頬をかくと、頭に乗っていたティムキャンピーが

舞い上がっていったシャボン玉を追いかけて、空へ上っていく。

 

「そういえば、ティムキャンピーってアレンくんに付きっ切りだね。」

「師からの預かり物なんですよ。」

「師匠?エクソシストなの?」

「エクソシストと呼んでいいのかわからないくらい、仕事してない人ですけどね…」

「えっ、そんな人なの?」

「クロス・マリアンって知ってます?」

「あの何処に行ったのか、全くわからない元帥?」

「…それが師匠…です…」

「……えっ!?」

「僕もココに来てから全然師匠の居場所がわからないんですよねー。」

 

アレンくん、大変な師匠を持ったね…。

 

「じゃあティムキャンピーはクロス元帥のものなのね。」

「そうです。ティムに案内してもらってココまで来たんですよ。」

 

そうアレンくんは笑顔で言った。

左目の傷が痛々しかった。

 

 

私も昨日、名簿でアレンくんのことを調べた。

同い年で英国人、左目の傷は父親(本当の父親ではない)をアクマにしてしまい、

その父親のアクマに付けられた傷…呪い。

アレンくんは寄生タイプのエクソシスト。

左手が赤いのはアレンくんの中にあるイノセンスの所為。

 

 

よくココまで書いてあるもんだな、と感心しながら読んだ。

クロス元帥のことは教団内の誰一人として居場所がわからなかったから

書いていなかったんだと思う。

 

「ねぇ、アレンくん。書室で名簿見たんでしょ?」

「はい。」

「私を何処まで知ってるの?」

「えーっと…」

 

15歳日系人、リナリー・リーと同期。

室長助手兼エクソシスト。

 

「ココまでですね」

「あれ?私のイノセンス知らないの?」

「詳しくは書いてませんでしたよ?」

「それもそうね。あんまり使わないから。」

「そうなんですか。」

「一緒に任務できたら見れるけどね。」

「その時まで秘密ですか?」

「ふふっ。秘密…かな?」

 

 

 

風が吹く。

春の暖かな風が空へと舞い上がったシャボン玉を東へと流す。

シャボン玉が木々の葉に触れ、儚く割れた。

 

 

「ねぇ、今日のお昼ってもう決まってる?」

「え?」

「もし予定が無かったらココで一緒に食べない?」

 

「ジェリーさんに頼んでランチ作ってもらって。」と付け加えながら。

アレンくんは驚いていたようだけど、微笑んで「いいですよ。」と言った。

 

 

 

お昼、アレンくんの食べる量に驚いたことは言うまでもなく。

あの細い体でよくこんなに食べれるんだろう?って。

そう思ったのと同時に「やっぱり男の子なんだ。」と思った。

 

 

お昼が終わると、いつしかお互い呼び捨てになっていた。

同い年ってこともあって、ハナシは尽きることなく続いた。

 

 

 

今日は青く晴れ渡ったピクニック日和。

キレイな透明のシャボン玉はふわふわと空に向かって昇っていく。

木々はさわさわと揺れ、噴水の水がキラキラ輝いていた。

そんな午後。

いつの間にか私とアレンは木陰の下で眠っていた。

 

それを知ってるのは、

シャボン玉を追いかけて空を飛んでいたティムキャンピーだけ。

 

 

青空の下、ちょっとだけ距離が近くなった気がした。

 

 

 

 

Next

 

 

 

++あとがき++

2話目突入ー。何かと理不尽な点があるかもしれません…。

でも!愛だけは十分注いで書いてます!!

徐々に徐々にアレンと距離を縮めて行きます。

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