初めて見た瞬間

瞳に焼き付いて離れないその笑顔が

貴方を印象付けていた。

 

 

 

 

 

 

 

    星々の瞬きの中で

 

 

 

 

 

 

 

「ったく〜。いっつもそうなんだから!」

 

石造りの建物の中をヒールの音を響かせながら急ぎ足で通り抜ける。

手には山積みの書類。

 

 

「もっと余裕をもって作業しようとは思わないのかしら、コムイ室長…」

 

小さなため息を漏らしつつ、せっせと重い書類を抱えて科学班室へと向かう。

かれこれ3時間前からずーっとこんな作業ばかり。

書室で作業をしていれば無線ゴーレムでまた新たな仕事。

それは増える一方で、まして減るなんて言葉は無いに等しかった。

それもこれも後先考えないで行動するコムイ室長の所為なんだけどね。

 

 

そして何故今こんなにも重い書類の山を急ぎ足で運んでるかと言うと、

コムイ室長がはんこを押し忘れた所為で問題が生じたから。

その所為でこんな重い書類を女の子一人で運ぶ羽目に…。

男手は既にコムイ室長の仕事を分担中。

科学班室の光景は好んで見ようとは思わないほど、むさ苦しい光景になっていた。

 

 

廊下の窓を見ると、外はもう星空に変わっていた。

 

 

 

 

「てか、この書類多すぎて前見えないし。」

 

目の前は階段。

直進だと確実に踏み外すので、そこは頭を使って行動。

少し横向きになり、階段を慎重に降りる。

 

 

3階の書室から1階の科学班室までの道のりはそうそう簡単にはいかない。

1階までの階段を下りる頃には書類の重さに耐えられなくなっていた。

 

 

「も、もう腕…感覚…な…いんだけどっ!!」

 

疲れと怒りと呆れが詰まって叫ぶ。

叫んだところで誰かが助けてくれるほど、ミンナに余裕なんか無いんだけどね。

 

「あと…10…段…」

 

 

 

ガツッ!!

残り10段目でついに躓いた。

 

 

 

「えっ;ちょ、ちょっとぉー!!!」

 

視界に入るのは舞い上がる書類たちと天井。

こーゆー時ってスローで時が進んでるように見える。

書類達が一層散らばる。

その中から微かに見えた赤い手…

”頭打つと痛いのにっ!!”と思いながら怖くて目を瞑る。

 

 

 

ドサッ

 

 

 

「あ、あれ?痛くない?」

 

思いのほか落ちたところは痛くなかった。

それよりも、なんか暖かいような?

 

「だ、大丈夫ですか?」

「えっ!?」

 

仰向けに落ちた私は自分の下で聞こえた声に驚いた。

白髪の男の子が、私の下にいた。

 

 

「ご、ごめんなさい!!」

 

急いで私は男の子の上から降りる。

見るからに華奢な体つきで、左目には星の傷。

団服を着ているから、この子もエクソシストなんだ…

左手が、赤い…

 

 

「すごい書類ですね。」

「え?」

 

男の子は起き上がりながらそう言う。

そして、近くに散らばっている書類を拾い始めた。

 

「またコムイさんが仕事溜め込んだんですね。」

「よくわかるね。」

 

男の子はニコっと微笑んだ。

私も一緒に階段下に散らばった書類を拾う。

見た感じ、あまり散らばらずに済んだみたい。

 

「コレで全部かな?」

「うん、ありがとう。」

「女の子一人じゃ大変でしょ。僕も手伝いますよ。」

「え。あ、大丈夫!科学班室もうすぐそこだから。」

 

「助けてくれてありがとう。」そう付け加えながら男の子に言う。

私は前からここにいるけど、初めて見る子だなァ。

 

 

「じゃあ、僕はここで。イノセンス渡しにいかないと。」

 

ニコっと微笑みながら歩いていく。

 

「ねぇ!貴方の名前は?」

 

男の子は振り返り、また微笑みながら

 

 

「アレン・ウォーカーです。」

 

 

そう言ってまた歩き出した。

後姿は華奢な体つきとは違って、何か運命を背負う姿だった。

 

 

 

また廊下の窓を見る。

さっきよりも一層、星の数が増して輝いていた。

 

 

 

 

 アレン・ウォーカー

 星が瞬く中で出会ったエクソシスト。

 

 貴方の笑顔が瞳に焼き付いて離れない―

 

 

 

 

 

Next

 

 

 

 

++あとがき++

始まりましたー!!アレンドリーム☆

てか!ヒロインの名前交換ナイがなっ(;◎д◎)!!

ちょっと原作かじりつつ、オリジナルで進みます。

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