声が聞きたくて、笑顔が見たくて、ぎゅってして欲しくて…
今すぐ飛んで行きたくなるの。


 

 

 




    アイタイ。

 



 

 



学校ではいつも一緒だし、寂しいとは思わない。
でも、家に帰ると途端に寂しくなる。


会いたくて会いたくてたまらなくなる。


 



今日もそう。
学校から帰ってくると家の中は真っ暗。
お母さんも、お父さんも、夜遅く帰ってくる。
仕事だからしょうがないけど。


寂しい寂しい寂しい。

 



いつの間にか私は携帯を片手にボタンを押してた。

 



プルルル…プルルル…プルッ



『もしもし?』



一番聞きたかった声が、私の中に染み込んでくる。

あったかい。



?どうかした?』
「ううん、なんでもないよ。ちょっと英二の声が聞きたくなっただけ。」
『今日も家の人遅いの?』
「うん…一人は寂しいよ…」
『大丈夫?』
「英二の声聞いたら、ちょっとよくなった。」
『…ねぇ、俺そっちに行ってもいい?』
「え…でも、悪いよ…」
『俺はの傍に居てあげたいんだけど?』



そう言われて、私の顔はほころぶ。
いつも英二は私が「寂しい」って言うと『そっち行ってもいい?』って聞くね。
そう言ってくれる英二が大好き。
私の心配をしてくれる英二が大好き。
私がその言葉を言われて、断る理由なんて一欠けらもないよ。

いつだって私の答えは"yes"しかないんだよ。


知ってるでしょ?


 


「じゃ…お願いします。」
『やった。じゃ、すぐ行くから待っててねん。』
「ん、わかった。…ありがとう…英二。」
『お礼なんていいよ。大好きなのためじゃん。』



受話器越しに英二は笑って言う。
早くその声を近くで聞きたい。
英二を近くで感じたい。


英二は『風邪ひくと悪いから、家の中で待ってなよ?』って言ってたけど。
家の中は暗くて、静かで…一人だと心細い。

 



私はコートと携帯を持って、家を飛び出した。
一分一秒でも早く、英二に会いたかったから。

 

 

 




私の家に来る時、英二はいつも同じ道を通って来る。
私はその道を、反対から走り抜ける。
きっとこの道の先に、英二がいる。
そう思えるくらい、私はこの道を夢中で走った。


途中には、いつもベンチに座って話しをする公園や、一緒に歩いた通りがあった。
英二を想い出す場所ばかり。


早く英二に会いたい。

英二にぎゅってして欲しい。

英二が愛しくて愛しくて。

英二が居ないと寂しいの。





 

 

 

 










!?」

「英二…」



角を曲がったら英二が居た。


見つけた…私の愛しい人…。




「家で待ってろって言ったじゃん。てか、なんで走って…うゎっ!」



私は英二に抱きついた。

英二に触れたくて、英二を抱き締めたくて、英二の存在をこの手で確かめたくて。

 



「どうかしたの?」
「ううん。」



私の瞳からは涙が溢れ出す。
悲しい涙じゃない。
英二に会えた、英二がここにいる、嬉しい涙。



「なんで走って来たの?」



英二はあ私に聞く。

そんなの、決まってるじゃない。

 



「…英二に…早く会いたかったから…」




 




英二は微笑んでた。
回りは夜で暗いけど、英二の笑顔はとても明るかった。
その笑顔を早く見たくて、英二に会いたくて。
家でなんて待っていられなかったんだよ。


英二は微笑んだあと、私を抱き締めてくれた。
私の望むことをしてくれる。
この腕の中は、とても幸せに溢れてる。



寂しくなる夜は、いつもあなたを想う。
そしてまたきっと、家を飛び出す。


 


愛しい愛しいあなたにアイタイから。


 

 




End

 

 

++あとがき++

やぁ――っと100のお題始めました!!

やっぱり最初は英二でvムフフv

これから頑張って増やしていきます!気長にお付き合い下さい(笑)

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