もっともっと

君の声を聞いていたい――




 

 

 



   voice

 

 

 





ホントは、夏休みなんて来なければよかったんだ。
毎日会える学校に行っても、はいない。
放課後、声をかけてくれるコートのわきにいても、はいない。
夏休みなんて、なければいいのに。


部活のために訪れる学校ですら、今では見るだけでため息が出る。
本当ならがいて、本当ならが笑いかけてくれる。
そんな校舎に、がいない。


そんな所に俺がいたって、何の意味もないんだ。













「なんだァ?おちび。元気ないぞー?」

部活中、菊丸先輩が声をかけてきた。



「別に…何でもないっスよ。」
「そっか?ならいいけど…」

 


いくら好きなテニスだからって、集中しなきゃならないのに。


俺は集中できなかった。


の笑顔に
会いたい…


の声が
聞きたい…


 

 




それから俺は、部長にグランドを走らされた。
自業自得ってヤツだよね。

でも…
俺にとっては、テニスよりも気になってた。








俺は一人、遅れて部活を終わった。
部室の時計を見ると、丁度お昼。


部室を出ると、青空と大きい雲が目に入った。
校庭の花壇を見ると、大きく花開かせた向日葵。
 


なんか
の笑顔のように見えて


ちょっと微笑んだ。


 



もう一度空を見上げる。
変わりのない空に、俺は勇気をもらった。







 

 









「リョーマ?」


呼ばれて後ろを向くと
向日葵のような笑顔のがいた。



「部活?」
「決まってるじゃん。」
「1学期と変わらないなァ。」
「まだ新学期じゃないけど?」
「あ、そっか。」



声に出して笑う
向日葵よりも明るい笑顔。

 


は何で学校にいるわけ?」
「私?私はね…ないしょ。」
「は?」
 


「でも…テニスしてるリョーマ、かっこよかったよ。」


 



風のように過ぎて行く時間さえ、今は止まって欲しいと思った。
の声が、笑顔がとても心地よかった。



「じゃ、私もう帰る所だから。」
「あ、あァ。じゃ、また。」
「うん、じゃあね。」



笑顔で去って行く。


少し歩いた所で振り返った。
そして、何か言ったようだけど…。

 



最後にまた笑顔で歩いて行った。
俺は、の姿が見えなくなるまで、その場を動かなかった。



 




さっき、が言った言葉。
ホントは少しだけど、聞こえたんだ。

俺にとって、願ってもない言葉。
の声から聞けた言葉。

でも、俺だけの胸にしまっておこう。
誰にも、教えない。

 


の、俺だけに向けた声を独占したいから――。















" リョーマに会いたかったんだよ "




 







End

 

++あとがき++

久々にお題更新ですね。

リョーマ、最近集中的に更新してますね。

英二への熱は冷めてませんよー!!(笑)

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