今日貴方と会ったら
きっと私は泣いてしまうから・・・・
// Don’t Cry //
屋上からテニスコートを見下ろすとそこには試合をする3年と1・2年が見えた。
そこにはもちろん大好きな先輩――菊丸先輩もいる。
今日は卒業式。
本当なら私も一緒にコートにいるはずだった。
でも、きっと泣いて先輩たちを困らせてしまうからずっと屋上にいた。
「菊丸先輩、大好きでした・・・」
コートにいる先輩に向けて小さく呟く。
『先輩の卒業とともに私のこの気持ちも卒業です。』
もう1度呟くと涙が溢れ出した。私はうずくまって泣いた。
「コラコラ、マネージャーがこんなところで何やってんの?」
うずくまっていた私にいきなり影を落としたのは、コートにいるはずの人。
私の大好きだった人・・・・
「菊丸先輩・・・」
涙をふいて立ち上がると肩で息をしていた先輩が近づいてきた。
「部活にいるはずのちゃんがいないんだもん。探そうと思ったら屋上にいたのが見えたから。」
走ってきたと先輩は笑って言った。
「そんなこと言ったら私、期待しちゃいますよっ」
冗談のつもりで口から出た言葉。
でも、否定されるのが怖くて俯くと先輩の困った顔が浮かんだ。
どうしよう・・・また泣きそうだ・・・
「いいよ、期待しても。」
えっ?!
私は自分の耳を疑った。気づくと涙もふかないで顔をあげていた。
「むしろ、期待して。俺ね、ちゃんのことが好きなんだ」
一気に涙があふれた。
さっきまで流していた涙とは違う意味を持つ涙が次々と頬に透明な線を描いていく。
「・・ウ・・ソ・・・?」
「ホントだよ。だからちゃんにはいつも元気な笑顔でいてほしいんだ。君に悲しい顔は似合わないよ。」
嬉しかった。先輩は私の涙をふくと優しく抱きしめてくれた。
「ちゃんの返事聞いてもいいかな?」
「私も・・・先輩のことが大好きですっ」
先輩は抱きしめていた私の体を離し、お互いの唇に触れるだけのキスをした。
その時、ちょうど校舎全体にチャイムが鳴り響き、2人を祝福した――
End
++お礼++
素敵な英二をありがとう!!毎回お世話になってます。
男らしい英二で、顔がにやけちったよ(笑)素敵だぁ――!!
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